2018年1月6日に奄美大島沖で中国の貨物船とイランの石油タンカーが衝突事故を起こしました。
この東シナ海で発生した事故は、日本では報道されることはなく海外のメディアでは過去数十年の中でも最悪の原油流出と見出しをつけています。
イランのタンカー「サンチ」が積載していたコンデンセート(超軽質原油)は、13万6000トンにもなります。(後に11万1000トンと訂正しています)
1989年にアラスカ沖で、石油タンカー「エクソンバルディーズ号」が原油流出事故を起こしました。
この事故は、これまでに海洋で発生した事故の中でも最大級とされていました。
しかし今回発生した事故の原油流出量は、エクソンバルディーズ号に匹敵するもしくはそれ以上だということが指摘されています。
この最大級のタンカー事故によって海は汚染され、私たちの食べる魚にも大きく影響が出ることは言うまでもありません。
史上最悪のタンカー衝突事故
画像参照:zerohedge
石油タンカー「サンチ」はイランから韓国に超軽質原油を運んでいました。
2018年1月6日に中国の貨物船とイランの石油タンカーが、日本の排他的経済水域(EEZ)内で衝突事故を起こしました。
1月14日に奄美大島の西約300キロの地点で、爆発を数回繰り返し沈没しました。
タンカーに乗っていた乗組員32人全員が犠牲となりました。一方、貨物船に乗務していた中国人21人は、全員救出されました。
イランのタンカー「サンチ」が積載していたコンデンセート(超軽質原油)は、13万6000トンにもなります。
(後に11万1000トンと訂正しています)
21日夜にSOAが発表した声明によると、3つに分かれた帯状の油膜が332平方キロメートルにわたって海面を覆っていることを中国当局が確認したという。
原油の流出範囲は、17日時点では約101平方キロメートルだった
AFPより引用
この未曾有の原油流出事故で私たちの共通の資源である海はどうなってしまうのでしょうか?
壊滅的な緊急海洋模型シミュレーションの結果
イギリスの国立海洋研究所が、「緊急海洋模型シミュレーション」の予測図を発表しました。
見て分かる通り、太平洋側、日本海側の汚染の状況がわかると思います。
太平洋側は黒潮に乗り、日本海側が対馬海流に乗り流れ込みます。
The worst tanker oil spill in decades is
unfolding across hundreds of miles of the East China Sea after an Iranian oil tanker carrying more than 100,000
tonnes of toxic oil collided with a freighter and exploded. https://t.co/p9zvV5eRqS pic.twitter.com/AWlHub3ENv
— Reuters Top News (@Reuters) 2018年1月27日
25日後
40日後
100日後
画像参照:zerohedge
3か月後には、日本海、太平洋に原油が広がってしまっています。
海洋生物への影響が非常に気になるところです。
普段私は魚を食べないため魚を食べる時は、日本海まで足を運んで食べに行きます。
また、日本海で獲れるズワイガニはブランド化されており、松葉ガニや越前ガニなどと呼ばれ高価格で取引されます。
このようなカニにも影響がでることが懸念されますので、漁業関係者にとっては今回の事故に脅威を感じているはずです。
コンデンセート(超軽質原油)は揮発性の原油です。
コンデンセートは水よりも軽いために海水の表面に浮きます。そのため大気に蒸発するのであまり影響はないようなことを言っている方を見かけますが、実際にはどれくらい海への被害がでるかまでは調査をしなければわかりません。
イギリスの国立海洋研究所は、日本と韓国の重要な漁場への影響と海洋の生態系への潜在的な影響を懸念しています。
関係者は実際にコンデンセートが海面に有毒なプルームを形成するだろうとみていますがその濃縮物がどれくらいの期間、海に留まっているかは不明であると考えています。
水産庁は、タンカー沈没事故による水産資源への影響について調査をするようです。
水産資源や漁場への影響の結果がでるまで、様子をみる必要があります。
海洋への影響
東シナ海で1月6日にタンカーが貨物船と衝突、積み荷の原油が流出した事故で、鹿児島県の奄美大島一帯に油が漂着し、絶滅危惧種のアオウミガメ1頭が窒息死しているのが見つかった。
インターネット上では「黒潮に乗って日本近海が汚染される」「漁業が全滅する」と不安も広がっている。
地元の漁師は「サンゴが死滅してプランクトンがいなくなり、漁獲に影響が出る可能性もある。
モズクの養殖網も心配だが、それ以上に奄美の海で油が流れているという風評被害が怖い」と懸念する。
毎日新聞より引用
東シナ海でのタンカー事故後に鹿児島県の奄美大島などに油状の固まりが漂着した問題で、島内に住む国の特別天然記念物コウノトリの体に、油のような黒い汚れが付着しているのを地元の人が見つけた。環境省は様子を見守るとしている。
朝日新聞より引用
また、海にはタンカー事故での原油流出の問題だけではなくマイクロプラスチックという問題もありますので合わせてお読み下さい。
最後に
原油の事故は、長期的に影響がでること、海流の流れの方向によっても状況は変わってきます。
水産資源や漁場への影響や汚染状況の結果がでるまで、様子をみる必要があります。
しかしなぜメディアは沈黙をつらぬくのでしょうか?
過去数十年の中でも最悪の原油流出事故を報道しないメディアの姿勢を許してしまっているのは、他でもなく無関心な私たちに原因があります。
何も知らない私たちは、今日もいつも通り魚を食べることでしょう。
コメントを残す