ニンニクは数千年もの間、多くの文化圏で自然に健康問題を解決するために食べられてきました。
古代エジプト、ギリシャ、ローマ、インド、中国などで使用され、今日は世界のあらゆる料理に使われています。
ニンニクは地中海食の定番であり、地中海沿岸に暮らす人々の健康を裏から支えています。
古代ギリシアの医者、ヒポクラテスはがんの治癒のため、大量の粉砕ニンニクを食べるよう人々に勧めていました。
定期的にニンニクを食べることは、多くの健康問題の解決につながり、実際に世界の主要な死因のひとつである心臓病、癌、糖尿病、アルツハイマー病、及び風邪、インフルエンザなどを予防、改善する効果効能を持っています。
PubMed(パブメド)に収められているデータベースに、ニンニクの記事は5500以上あり、ニンニクが本物のスーパーフードであることが裏付けされています。
それではスーパーフードとしてのニンニクの効果効能を見ていきましょう。
Contents
ニンニクの栄養素と有効成分アリシン
ビタミンB6
ビタミンC
銅
セレン
リン
カルシウム
ビタミンB1
フラボノイド
オリゴ糖
アミノ酸
アリシン
ニンニクを潰したり切ったりすることでアリシンという化合物が生成されます。
ニンニクの効果効能はそのままアリシンの効果効能と置き換えることができます。
実はニンニクにはアリシンは含まれていません。
アリシンの素であるアリインという成分が含まれています。
ニンニクを潰したり切ったりするとニンニクに含まれるアリナーゼという酵素と反応することでアリシンが発生します。
研究者はアリシンの健康効果を最大化するためニンニクを潰したり切った後、10分間放置してから調理することを推奨しています。
ニンニクの効果効能8選
①心臓病の予防
ニンニクは、 アテローム性動脈硬化症、高脂血症、血栓症、高血圧や糖尿病を含む多くの心血管疾患の予防と治療薬として認識されています。
Journal of Hypertensionに掲載された研究では、定期的にニンニクを摂取することは血圧を下げ、心血管疾患のリスクを最小限に抑えることができます。
アメリカのコネチカット大学医学部の研究によると乾燥したニンニクよりも、新鮮な状態で粉砕したニンニクの方が心臓の健康にとっては利点があると示されました。
研究チームはニンニクの心臓への健康効果はニンニクが粉砕した後に発生する「硫化水素」のおかげである可能性を信じています。
硫化水素というと毒ガスのイメージを持たれるかもしれませんが、今日では体内の血管拡張の役割があることがわかっています。
しかし、乾燥したニンニクでは硫化水素が発生しにくくなるため、生の状態よりは心臓への健康効果は弱まります。
②癌の予防対策
古代ギリシアの医者、ヒポクラテスはがんの治癒のため、大量の粉砕ニンニクを食べるよう人々に勧めていました。
ニンニクやネギなどの香り成分である硫黄化合物は、癌形成の各段階において効果を発揮すると考えられています。
NIH (アメリカ国立衛生研究所)の調査によると、ニンニク摂取の増加が、胃、大腸、食道、膵臓、乳房などの特定の部位の癌リスクの低下と関連していることが示されています。
NIH (アメリカ国立衛生研究所)は、ニンニクの強力な抗菌作用により、発がん物質を阻止、癌の活性を抑えると述べています。
フランスの345人の乳がん患者を対象とした研究では、ニンニクや玉ねぎの消費が乳がんリスクを低下させることが判明しています。
またニンニク消費の増加が膵臓癌の発症リスクを低下させる可能性があることが研究により判明しています。
中国、江蘇省の疾病管理予防センターで実施された1,400人以上の肺がん患者と4,500人の健康な成人を対象とした研究では、 生ニンニクを週に2回以上食べた人が肺がんを発症する可能性が44%も低いことがわかりました。
肺癌リスクを上昇させる喫煙者も、ニンニクを食べることで肺癌を発症する可能性は30%低くなります。
③血圧を下げる
ニンニクは血圧を下げる天然の降圧剤であり、何世紀にも渡り中国では使用されてきました。
Journal of Hypertensionに掲載された研究では、定期的にニンニクを摂取することは血圧を下げることが示されています。
ニンニクは、血圧を下げるために血管を広げ、血管に溜まったプラークを除去します。
科学誌Maturitasに掲載された研究では、ニンニクエキス(960ミリグラム)を1日4粒、3ヶ月間服用すると、血圧が平均10低下することがわかりました。
④風邪や感染症の予防
ニンニクは風邪や感染症を予防するのに役立ちます。
ニンニクに含まれている化合物であるアリシンは、風邪などの原因である細菌を除去するのに効果的であることが示されています。
研究によるとニンニクは風邪になるリスクと風邪を引いている期間を短くします。
146人を健康な人を対象とした研究では、ニンニクサプリメントとプラセボを3カ月比較したところ、ニンニクサプリメントを摂取した人達は風邪のリスクが63%低く、風邪を引いている日数も70%短いことがわかりました。
ニンニクの強力な抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用は、風邪やインフルエンザの症状を緩和するのに役立ちます。
⑤アルツハイマー病、認知症の予防
The Journal of Nutritionに掲載された研究では、熟成ニンニク抽出液(AGE)が脳への血流を手助けすることでアルツハイマー病のリスクを低減することがわかりました。
また、認知機能に悪影響を与える酸化ストレスに対して、体を守る抗酸化物質がニンニクは豊富に含まれています。
⑥糖尿病の予防
ニンニクは糖尿病を手助けすることが示されています。
2006年の研究では生ニンニクは血糖値を下げるだけではなくアテローム動脈硬化症のリスクを低減するのに役立つ可能性があることがわかりました。
またニンニクを食べると糖尿病の合併症の影響を緩和したり、LDLコレステロールを低下させ、感染症と戦います。
ラットの動物実験では、糖尿病の合併症の緩和や、糖尿病の健康状態の改善に役立つことが示されています。
生ニンニクの抽出物を7週間投与したラットは、血糖値が57%、中性脂肪が35%、総コレステロールが40%低下しました。
⑦寄生虫の除去
ニンニクのユニークな特徴は、寄生虫を除去する効果があることです。
寄生虫を除去する薬は数多くの種類がありますが、100%有効であるとは限らないだけではなく副作用もあります。
ニンニクは多くの種類の寄生虫の治療に役立ちます。ニンニクは免疫を強化し、有害な副作用もなく、安価で安心して使用することができます。
⑧抗生物質の代替
ワシントン大学の研究によると、ニンニクはほとんどの抗生物質と同様に細菌感染症を治療するのに有効である可能性があります。
天然抗生物質であるニンニクは一般的な抗生物質よりも100倍効果があるといいます。
第1次、第2次大戦の際に、ニンニクは消毒剤として使われ、兵士の感染症を防ぐために使用されていました。
現在、抗生物質の乱用が指摘されており、OECDは抗生物質処方の50%以上は不適切であると述べています。
下記の記事はニンニク以外の天然の抗生物質になりますので参考にしてください。
ニンニクの摂取量
世界保健機関(WHO)は、1日のニンニクの摂取量を下記のように定めています。
・生ニンニク: 2~5グラム(約1片)
・ガーリックパウダー: 0.4~1.2グラム
独特の香気と食べた後のニオイから多くの人が敬遠してしまうニンニクですが、生パセリを食べることである程度ニオイを抑えることができます。
またニオイが気になる場合はサプリメントで摂取することもできます。
ニンニクの副作用
生のニンニクは副作用は口臭、胸やけ、吐き気、嘔吐、体臭、下痢などを引き起こすことがあります。
こららの副作用は食べた量と比例して増加します。
ニンニクは溶血作用がありますので、血液凝固の薬を服用している方は食べる前に医師に相談してください。
外科手術などの予定がある場合は出血を促進してしまう可能性があるため、少なくとも2週間前にはニンニクを食べるのをやめてください。
妊娠中、授乳中、子供のニンニクの過剰摂取は避けて下さい。推奨量であれば問題ありません。
胃腸に問題がある場合は、ニンニクが消化管を刺激する可能性があるます。
生ニンニクを直接、肌につける場合は、やけどのような皮膚刺激を引き起こす可能性がありますので注意してください。
病気を抱えている方や薬(血液凝固薬、避妊薬、エイズの薬、非ステロイド性抗炎症薬)を服用している場合は、医師に相談してください。
最後に
ニンニクは心臓病、癌、糖尿病、アルツハイマー病、及び風邪、インフルエンザなどを予防改善する効果効能を持っています。
これらを支えているのはニンニクに含まれるアリシンという化合物です。
アリシンはニンニクを潰したり、切った後、10分間放置してから調理することで発生します。
カンタンな作業で健康効果が最大化されますので、試してみてください。
ニンニクは手に入れやすく非常に安価なスーパーフードです。
副作用の口臭が気になるところですが、積極的に食べていきたい食品のひとつです。
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