世界で水の次に飲まれているのが紅茶です。
紅茶をめぐり戦争が起こり、政治や経済に影響を与え、様々な文化の形成に関わってきた飲み物には多くの歴史的な物語が隠されています。
紅茶は長い間、薬効があり高価で貴重な飲み物として扱われてきました。
紅茶は東洋の神秘薬と称され、イギリスではアフタヌーンティーとして19世紀半ば頃から貴族婦人たちの間で始まり、現在でも喫茶文化が強く根づいています。
17世紀後半にイギリスで紅茶が販売され始めた時には、薬としての効能を前面に押し出し販売していました。
実際に紅茶を飲むことで健康が促進され、心臓病、癌、糖尿病、脳卒中、ストレス解消などを対策してくれる多くの効果効能があります。
それでは紅茶の効果効能を見ていきましょう。
Contents
紅茶も緑茶も同じ茶葉が原料?
紅茶の原材料となる茶の木は、ツバキ目ツバキ科ツバキ属の常緑樹です。
実は紅茶、緑茶、ウーロン茶、ほうじ茶も原料となる茶の木は一緒です。
つまり同じ木から種類の異なる茶ができます。
味、香り、色が異なる紅茶と緑茶も元となる茶葉は同じです。
それではどうして同じ茶葉から紅茶と緑茶ができるのでしょうか?
答えは…発酵の強さです。
摘み取った茶葉をどれくらい発酵させるかにより、紅茶になったり緑茶になったりします。
・不完全発酵茶(日本茶)
・半発酵茶(中国茶)
・完全発酵茶(紅茶)
お茶には様々な種類がありますが、世界全体を見ると紅茶の生産量が圧倒的に多いの実情です。
紅茶の10個の効果効能
①心臓の健康
紅茶が心臓の健康に良い影響を与えるという多くの研究が行われています。
2017年に発表された研究では、中国の10の地域、30歳から79歳の35万人以上の男女に対してお茶の消費と虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)のリスクの影響を調べました。
7年後の追跡調査によると、お茶の摂取は虚血性心疾患や心臓発作などのリスク低下につながっていたことがわかりました。
Journal Preventive Medicineに掲載された研究では、毎日3杯の紅茶を毎日飲むと血液中のトリグリセリド(中性脂肪)が36%低下し、心臓血管の状態が改善されたことが示されました。
②癌の予防
紅茶には、抗酸化作用のあるフラボノイドの一種であるカテキン、エピカテキン、ケンフェロール、ミリセチンが含まれています。
American Journal of Epidemiologyに掲載された2013年の研究では、オランダの58,000人以上の男性における前立腺癌と紅茶の摂取の影響を調査したところ、フラボノイドを豊富に含む紅茶の摂取は進行した前立腺癌リスクの低下と関連していることがわかりました。
(ただし、前立腺癌が全体的に進行している状態や初期段階では関連が認められていませんでした。)
また、定期的に紅茶を飲む女性は、飲まない女性に比べて卵巣癌のリスクが低いことがいくつかの研究で示されています。
③糖尿病リスクの軽減
国際糖尿病連合(IDF)の発表によると、糖尿病有病者数は2017年時点で、約4億2,500万人に上ります。
2045年までに7億人になるという試算がでている世界的な課題になっています。
スコットランドにあるダ ンディー大学とスコットランド作物研究所の研究では紅茶に含まれている成分がインスリンの効果を模倣し糖尿病の手助けになると発表しています。
Diabetologia誌に掲載された研究では、1日に3杯の紅茶またはコーヒーを飲むことで、2型糖尿病のリスクが約42%低下しました。
④脳卒中リスクの軽減
毎日紅茶を飲むことで虚血性脳卒中を予防できる可能性があることがわかりました。
紅茶を毎日3杯飲んだ人は、1杯未満飲んだ人と比べて脳卒中リスクが21%低いことがわかりました。
⑤口腔の健康
紅茶には強力な抗菌力と抗酸化力があります。
紅茶に含まれているポリフェノールは虫歯の原因菌を抑え、歯垢の付着を防ぎます。
⑥ストレスを軽減
ストレスを感じるとストレスホルモンで知られるコチゾールが分泌されます。
紅茶を飲むことでコチゾールが正常に戻ることが知られています。
⑦骨の健康
定期的に紅茶を飲むことで骨密度が増し、骨折の危険性が減ります。
骨密度が低いということは、骨粗しょう症や骨折のリスクにつながります。
研究によると6年以上、1杯以上の紅茶を定期的に飲んだ人は、飲まない人に比べて骨密度が高い傾向にありました。
⑧ダイエット
紅茶の消費が多い国では肥満になる人が少ないことが研究により示されています。
紅茶に含まれている抗酸化物質は代謝を高め、効果的に脂肪を燃焼させるのに役立ちます。
⑨免疫強化
紅茶には多くの抗酸化物質が含まれているため、 免疫強化につながります。
紅茶に含まれるタンニンは、インフルエンザウィルスや一般的なウィルスから守る働きをします。
⑩エネルギーの向上
紅茶の含まれるカフェインはあなたの気分やエネルギー向上に役立ちます。
少量のカフェインは代謝を刺激し、血流を良くする働きがあります。
紅茶論争
紅茶文化を語るときにイギリス抜きには語れません。
1657年にロンドンの街に「ギャラウェイ」というコーヒーハウスにて、はじめて紅茶が登場しました。
当時、商業地域にコーヒーハウスが次々にでき、ロンドン市内に3000軒もあったと言われています。
ギャラウェイの店主は、紅茶を売るため20項目の薬効を前面に押し出し販売していました。
紅茶を飲む習慣が根付いてきた矢先に、ひとつの論争が起きました。
それは、おいしい紅茶の淹れ方とは?という論争です。
ミルクティーをつくるときに、ミルクを先に入れるのか、後に入れるかでどちらがおいしいかが論争になりました。
最終的な結論はミルクを先にいれるということで決着がつきました。
村上春樹箸の長編小説「1Q84」のタイトルは、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの代表作「1984年」というSF小説が由来になっています。
1948年に出版された本ですが、全体主義、管理主義に傾倒した近未来の恐怖を描いています。
欧米での評価は高く、様々な分野に影響を与えている本ですが、その著者のジョージ・オーウェルは下記の言葉を残しています。
ほかならぬ紅茶が、我が国の文 明を支える柱のうち一本である
その他にも「一杯のおいしい紅茶」というエッセイを書くほど紅茶好きのひとりでした。
また、アントニー・グリンも下記の言葉を残しています。
万一紅茶が飲めない事態にでも立ち至れば、我々は行動力や思考力は愚か、生きる気力すら無くしかねない
イギリスと紅茶がどれほど深く関わりあっているかがわかりますね。
紅茶の副作用
紅茶に副作用はありませんが、過剰摂取はカフェインによる副作用が出る場合があります。
・不安、パニック
・リラックスができない
・不眠症
・心拍数が上がる
・軽度な頭痛、めまい
・腹痛
・震え
・興奮
・吐き気
・耳鳴り
・排尿の増加
1日に5杯以上は飲まないようにし てください。
妊娠、授乳中の場合は、1日あたり3杯以下、カフェインの摂取量は200ミリグラム以下ですので気をつけてください。
この摂取量を超えると、流産、早産、低出生体重児のリスクにつながります。
極力妊娠中は飲むのを控えた方が望ましいです。
紅茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げてしまうため、鉄欠乏症貧血の場合は注意してください。
持病がある方、投薬を受けている場合は医師に相談してから飲むようにしてください。
紅茶は薬やサプリメントの飲み合わせがありますので合わせて相談してください。
カルシウム、マグネシウム、エキナセア 、葉酸、クレアチンなどのサプリメントに反応する場合があります。
最後に
数ある飲み物の中で紅茶ほど、世界の歴史を動かし人々を魅了したものはないかもしれません。
紅茶は様々な健康効果がありますが、食事との相性が抜群です。
イタリアン、フレンチなど赤ワインに合う料理であれば、紅茶は相性が良く上手に合わせることができます。
そしてケーキや和菓子などにも相性が良く、紅茶に含まれているタンニンが口の中の油分を分解してくれます。
また、体を温めてくれる生姜を加えることで更に健康効果を高めてくれます。
普段の食事にジュースや清涼飲料水を飲んでいるようであれば健康的な紅茶を試してみるのもいいですね。
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